Googleのコアアップデートとは?アップデートの概要と必要な対策について
はじめに
SEO対策では、Googleのコアアップデート(検索順位決定ルールの変更)に対応したWebサイト設計とコンテンツ作成を行うことが必要不可欠です。
コアアップデートとは一般的に、2010年頃から実施されている大型アップデートの総称です。
SEO対策は近年のコアアップデートで状況が変わってきており、テクニックに頼るルールからより本質的なルールに変更されています。
この記事では初めにこれまで行われてきたアップデートの歴史をご紹介し、最新(2019年以降)のコアアップデートには何が重視され、それを踏まえてどのような点に留意してコンテンツを作成すればよいのかのポイントを解説したいと思います。
Googleアップデートの歴史
最新のコアアップデートについて触れる前に、一度これまでのGoogleアップデートの歴史をおさらいしてみましょう。
アップデートの歴史を知ることで、Googleがどのような観点でWebサイトやコンテンツの質を判断しているのかといった大枠をつかむことにもつながります。
~2011年 被リンク重視
この頃のGoogleでは、被リンク(自分のWebページが他のWebページにリンクされること)を多く獲得していることが重要視されていました。
他のWebページから多くリンクされている=良質なコンテンツであるという考えに基づいたものでしたが、自分が所有するWebページ間でリンクを貼り合う「自演リンク」、金銭によってリンク獲得をする「被リンク購入」といったテクニック重視のSEO対策の横行を招いてしまいました。
2012年~ コンテンツ重視
前述の事態を踏まえ、2012年にGoogleでは大型アップデートを2回行いました。
これにより「自演リンク」「過剰な相互リンク」などの低品質コンテンツは検索順位を大幅に落とす、もしくは検索結果に表示されなくなるといったペナルティを課せられるようになりました。
また、2013年に行われたアップデートによってページ内のキーワード数よりも「検索意図とコンテンツ内のキーワードのマッチ度」が重要視されるようになったため、キーワードを無理やり詰め込んだページや意味のないキーワードの羅列といった不自然なコンテンツもペナルティの対象となりました。
2015年~ モバイル重視
2015年、米国・日本などの世界10か国でスマホからのGoogle検索がPCからの検索よりも多くなりました。
これを受けてGoogleは、スマホ最適化できていないページの「スマホからの検索順位」を下げるようアップデートを行いました。
これ以降、サイトのスマホ最適化はSEO対策において必須となりました。
2018年~ コアアップデート
最新のコアアップデートについては次の章で詳しく説明しますが、コアアップデートが実施されるとクエリ(=検索ユーザーが検索したキーワード )と関連性の⾼いページの検索順位が上がり、関連性の低いページの検索順位が下げられるようになりました。
これまで以上にクエリとの関連性やコンテンツの信頼性の担保が求められるということです。
コアアップデートとその対策
コアアップデートとは?
Googleでは年に数回、検索順位決定のアルゴリズムに大規模な変更を加えています。 このような変更を「コアアップデート」と呼んでいます。
Googleはユーザーファーストの考えに基づいてコアアップデートを行うことで、検索ユーザーに対して関連性と信頼性の高いコンテンツを提供することを使命としています。
コアアップデートで重視されるポイント
コアアップデートの概要は前述の通りですが、具体的にどのような点が重視されるのか一つ一つ見ていきましょう。
検索クエリと関連性が高い
検索クエリとは、ユーザーがGoogleなどの検索エンジンを使って検索窓に入力した単語、フレーズ、複合語などを指します。
Googleはユーザーファーストかつ検索クエリ(ユーザーの検索意図)と関連性の高いコンテンツを充実させることを重視し、上位に表示させる傾向にあります。
自社サイトが想定している対象顧客がどのような検索クエリで流入してくるのかを想定した上で、ユーザーの検索意図を満たすコンテンツを設計するのが理想といえます。
当然ながら、検索クエリと関連のない情報(ノイズ)が少ないコンテンツであることが望ましいので、関連性が低い箇所についてはリライトを行うなど、定期的なブラッシュアップも必要です。
信頼性が高い
Googleはコンテンツの評価を行う際に、コピーや流用ではなくオリジナルの情報(一次情報)であるかを重視します。
例えば不動産売却というテーマ一つとってみても、ネットで検索すればすぐ出てくるような一般的な基礎知識よりも、自社の実際の相談・売却実績の事例を挙げたコンテンツの方がオリジナル性が高くなります。
また、根拠となるデータの引用元や信用に値する著者のプロフィールを示すことで、主張の信頼性を強めることができます。
更に、サイトの機能的な側面でいうとSSL化も重要な要素です。
SSL化に対応していないサイトの場合、サイトを訪問した際に検索バー部分に「保護されていません」という警告文が表示されてしまいます。
サイトを訪れたユーザーは、この警告文を見て離脱するリスクも考えられます。 不動産業は個人情報を多く扱う業種のため、こういった点で信頼性を損なうのは好ましくありません。
SSL化はWebサイト制作の際に必ず行うようにしましょう。
ユーザーファースト
これまでもずっとGoogleはユーザーファーストを掲げてきました。コアアップデートを重ねている現在でも変わることはありません。
ユーザーファーストとは、ユーザーのことを意識してWebサイトやコンテンツを作成することです。
信頼性を高め、高品質なコンテンツを作り、導線を考えることでユーザーの満足度が上がります。
Googleはスマートフォン利用者が増え始めた2015年よりモバイル版の検索結果では、モバイルフレンドリーなページ(スマートフォン端末で読みやすく使いやすいページ)の掲載順位が引き上げられようになりました。
2015年からは、モバイルフレンドリーであることが重視されるようになり、2019年からは新規Webサイトに関してはモバイルファーストインデックス(モバイル版のコンテンツが優先的にインデックスされること)がデフォルトで有効になることを発表しました。
そのため、現在はモバイル最適化が必須となっています。
モバイル表示への最適化においては、全ページのモバイル対応とサイトの軽さが重要です。
Webページの表示速度を改善するための対策
●画像を最適化しファイルの容量を抑え、適切なファイルフォーマット(PNG、JPEG、GIF、SVG)で保存する
●画像化してきた文字をテキストに戻す
Webサイトを運営する場合は、ユーザーエクスペリエンス(UX:ユーザーがサービスや商品を通して得られた体験)だけでなく、ユーザーインターフェース(UI:Webサイト上などでユーザーの目に触れるすべての部分)についても考えなければいけません。
具体的には
● ページのレイアウト
● 表示画面のサイズ
● フォントサイズや行間
● ボタンの配置や操作性
● 見出しなどの見やすさ
などが挙げられます。
UIが優れているwebサイトは、ユーザーの滞在時間や閲覧数も増える可能性があり、SEOにも影響を与えます。
E-A-Tの重要性
Googleは検索順位決定にあたり、E(専門性)-A(権威性)-T(信頼性)を極めて重視します。
SEO対策でコンテンツ設計を行う際、必ず念頭に置くべき概念です。
E-A-Tとは
E-A-Tとは、具体的に次の3つの考え方を指します。
1.Expertise:専門性
Webサイトやコンテンツの作成者が特定の分野の専門家として認められる性質を持っているか?という観点。
2.Authoritativeness:権威性
Webサイトやコンテンツの作成者は、特定の分野において多くの人に認められている存在であるか?という観点。
3.Trustworthiness:信頼性
Webサイトの運営者およびWebサイトの内容自体が信頼できるか?という観点。
YMYL領域で特に重視される
E-A-Tは、YMYLの分野では特に重要視されます。
YMYLとはYour Money Your Life(お金と人生に影響を及ぼす分野)のことを指し、Googleがコンテンツの評価を行う際に特に精査を必要とする分野であると位置づけています。
そのため、YMYL分野のコンテンツでは他の分野よりも更に正確性と信頼性が求められます。
GoogleもYMYL領域にはE-A-Tが重要であると公式サイトにて名言しています。
E-E-A-T自体はランキングに直接影響する要因ではありませんが、E-E-A-Tが優れているコンテンツによく見られる要素の組み合わせを使用することは有効です。
Google検索セントラル:E-E-A-Tと品質評価ガイドラインについて
たとえば、Googleのシステムでは、人の健康や安全、経済的安定、社会の福利厚生に大きく影響する可能性のあるトピックについては、E-E-A-Tが優れたコンテンツを特に重視します。 Googleはこうしたトピックを「Your Money or Your Life」、または略してYMYLと呼びます。
不動産取引も高額な取引や人生に影響を及ぼす分野になりますので、 YMYL領域に該当すると考えられます。
最新発表!E-E-A-Tとは??
2022年12月15日のGoogle公式ブログでは、前述のE-A-Tに「経験(Experience)」のEを加えた「E-E-A-T」が新たに提唱されています。
このたび、検索結果の評価を改善するために、E-A-T に E(経験)を追加しました。
Google 検索セントラル:品質評価ガイドラインの最新情報: E-A-T に Experience の E を追加
つまり、実際に製品を使用している、実際にその場所を訪問している、誰かが経験したことを伝えているなど、コンテンツにある程度の経験が織り込まれているかどうかも評価されます。状況によっては、そのトピックに関連して実体験をもつ人が作成したコンテンツが最も高く評価される場合もあります。
E-E-A-TのE(Experience)とは、コンテンツに関する実体験を指します。
単なる経験談ではなく、その分野に関する体験や人生経験をどれくらい持っているかが判断基準となるため、素人が書いたコンテンツより経験や知識が豊富な人のレビューの方が評価されやすいことにもなります。
コアアップデート対策でコンテンツを作成する際に意識すること
ここまで、最新のコアアップデートでは何が重視されるのかを中心に解説しました。
次に、実際にコンテンツ制作の際にどのような点に留意すればよいのかをまとめました。
どれか一つを改善すればよいのではなく、すべてが良質なコンテンツにつながる重要な観点です。
専門性・信頼性の高いオリジナルの情報を提供しましょう
コンテンツを専門性の高いものにするため、もっとも効果的なのはジャンルを絞ることです。
具体的には、「不動産」よりも「賃貸」、「賃貸」よりも「賃貸マンション」、「賃貸マンション」よりも「青葉台の賃貸マンション」とジャンルを絞ることで専門性を高めることができます。
また、物件に対する自身の見解に基づくレビューや購入・相続等の諸問題に関する専門的なアドバイス、自社のサービスに対する顧客の声などを多く盛り込むことで、独自性の高いコンテンツを充実させることができます。
上記のようなコンテンツを充実させ、E-A-Tのうちの「E(専門性)」を高めていくことでコンテンツ単体のみならずサイト全体の評価を高めることにもつながります。
信用・信頼につながる自社・自分の情報をできるだけ公開しましょう
ネットで情報を得ようとしたときに、どこの誰なのかわからない人の記事よりも、その分野に精通している人や専門家の記事から信頼性の高い情報を求めると思います。 コンテンツの信用を獲得するためには、可能な限り以下のような自社の情報を開示することが重要です。
● 共感を生むための理念・あいさつ
● 安心感を与えるためのスタッフ顔写真、店舗外観・内観の写真
● 他社との違い、選ばれる理由
● コンテンツ作成者の経歴、保有資格
これはE-A-Tにおける「A(権威性)」と「T(信頼性)」にも関わることです。
プライベートな情報をネット上に開示したくない・・・という方もいるかもしれませんが、Webコンテンツ=ネット上の実店舗であるという意識を持って「Webサイトを訪問したユーザーにおもてなしをする」という観点でコンテンツを組み立てていく心がけが非常に重要です。
ユーザーにとって有益な情報を発信しましょう
Googleのポリシーは「ユーザーファーストのコンテンツを提供すること」です。
そのため、訪問したユーザーが読み進めたくなるようなコンテンツを設計することが理想といえます。
不動産でいえば、以下のような例が挙げられます。
● 希望条件に合致する豊富な物件情報
● 顧客目線に立った有益なお役立ち情報
● 任意売却、相続などのお悩み解決
特に、不動産というジャンルは動くお金も大きく、相続や税金などはなかなか気軽に他人に相談しづらいものです。
そういった困り事を解決するために検索をして情報を探しているわけですから、コンテンツを作成する側もその意図をくみ取って、実際に対面で営業をする際と同じような内容をWebサイト上でも提供できるよう心がけましょう。
「買ってください」「売ってください」のような宣伝文句ばかりだと、コンテンツ作成側の主観が強くなりすぎてユーザーファーストから離れていってしまうため、頻度と言い回しには留意しましょう。
低品質コンテンツを作らないようにしましょう
他社サイトからコピー・流用してきた情報はオリジナル性に欠け価値が落ちます。
具体的には、以下のようなコンテンツですね。
● 情報量(文字数)の少ない内容が薄いページ
● 文字だけで画像や動画等が少なく理解が容易ではないページ
● サイトのテーマと関連性の薄いコンテンツ
このようなコンテンツは仮にユーザーが訪問したとしてもすぐに離脱されてしまいます。
文章のメリハリやコンテンツの量、テキスト以外の情報伝達も念頭に置いてコンテンツ設計をしましょう。
Googleが公開している品質基準でセルフチェックしましょう
Googleの公式ブログ、「Google検索セントラル ブログ」に、「Googleのコアアップデートについてサイト所有者が知っておくべきこと」という記事があります。
以下の記事には、グーグルが過去に提示したコンテンツ品質のセルフチェック(自己評価)のためのリストがまとめられています。
Googleではほぼ毎日、検索結果を改善するための変更をリリースしています。
Google 検索セントラル:2019年8月のGoogleコアアップデートについてサイト所有者が知っておくべきこと
ほとんどの変更は小さなものですが、それでも漸進的な改善に役立っています。
時には、重要な変更を行う場合もあります。
サイト所有者やコンテンツプロデューサーなどにとって実用的な情報があると判断した場合、Googleではそのようなアップデートを周知するようにしています。
初心者が気を付けるポイント
ここでは、このセルフチェックリストをもとに、コンテンツ制作初心者が最低限気をつけるべきポイントをまとめました。
品質における留意点
● コピーコンテンツではなく、一次情報に基づいたオリジナルのものか
専門性の担保
制作・運用時の注意点
コアアップデートに対応していくための3ステップ
実際にコンテンツ制作をしようとすると、どこから手をつければいいか、何から書いていいのか分からない・・・と躊躇してしまうこともあると思います。
これまで解説したコアアップデートの観点から、SEOを意識したコンテンツ制作をする際にどのようなステップを踏めばよいのかを以下にまとめました。
Step1 ユーザーにとって有益なコンテンツを作成しましょう
自社の強み・弱みを把握し、対象顧客を明確にしましょう。
対象顧客を広くしすぎるとそれぞれのユーザーにこちらの伝えたい内容が刺さらない可能性が高いため、少なくともWeb集客上では可能な限り顧客像を具体的に考えるようにしましょう。
次に、対象顧客に基づいて検索クエリと関連性の高いコンテンツを作成します。
自社独自の見解や実績など信頼性の高い情報を掲載することで、サイト全体の評価を向上させることにもつながります。
Step2 オンライン、オフラインの活動でトラフィックを集めましょう
当然ながら、Webサイトは作って終わりではありません。
サイトに訪問してもらうための日々の努力が必要不可欠です。
オンラインの場合、自社でSNSやYoutubeを運用している場合はサイトのリンクを貼って誘導したり、コンテンツを充実させることで信頼性の高いサイトからリンクを貼ってもらうなどの積み重ねが重要です。
名刺やチラシなど対象顧客にオフラインの媒体からサイトへ誘導することも忘れてはなりません。
以下の記事にもトラフィックの重要性についてまとめていますので、ぜひ参考にされてみてください。
Step3 サイトのエンゲージメントを高めましょう
せっかく良質なコンテンツを設計し、サイトを訪問してもらう努力をしたにも関わらず、すぐに離脱されてしまうと非常にもったいないです。
テキストのメリハリをつけたり、画像や動画で分かりやすい説明を心がけたりして最後まで読みたくなるように根気よく改善・運用を続けましょう。
まとめ
この記事では、Googleのコアアップデートについて、及びそれを踏まえて今後不動産業でSEO対策を行うためにどのような点に留意すればよいのかを解説しました。
Googleのアップデートの歴史を見ると、アルゴリズムの判断基準がどんどん「人の感覚」に近づいてきていることがわかると思います。
サイト訪問者が「参考になった」「役に立った」と思ってもらえるサイトを目指すことが自然とSEO対策につながります。
そのようなWebサイトに育てていくためには、一朝一夕の頑張りではなく、対象顧客に基づいた良質なコンテンツの設計、サイトを訪問してもらうための日々の努力、離脱させないための工夫を積み重ねていくことが重要です。
この記事が、Webサイト運営において1つの参考になれば幸いです。